EPISODE1 |
秀吉の晩年のこと、自分の所持する茶碗等の珍品を大いに自慢したことがあった。
この時、家康は「私は田舎者ゆえ、ご披露するようなものは、一切持ち合わせていません。ただ私のためならいつでも水火をいとわぬ家臣が五百騎ばかりいます。これが私の宝です。」といった。秀吉はばつが悪そうに自慢話を止めてしまったとのことである。 |
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EPISODE2 |
今川人質時代、竹千代が鷹狩をしていると鷹が誤って、孕石主水の屋敷に迷い込むことが多かった。ある日、主水は竹千代に向かい「人質のくせに鷹狩りとは生意気なやつだ。お前の
顔には、飽き飽きするわ。」と憎らしげに言ったと言う。
後年、武田の高天神城を落とした時、降人の中に主水がいた。
家康は直々に「久しいのう主水。そちがむかし、わしの顔を見飽きたとほざいたのを忘れてはいまい。わしもそちの顔など見飽きたわ。」と言い、切腹を命じたという。 |
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EPISODE3 |
自分の死期が近いことを悟った家康は、見舞いに来た諸将に向かい「わしの天寿も終わろうとしている。もし、秀忠の政道に誤りがあらば、誰でも変わって天下をとれ。天下は一人の天下でなく、天下の天下であるから、わしは少しも恨みに思わない。」と言って、諸将を見据えたという。 |