切腹の通告 |
切腹の2〜3時間前
上使(大目付か目付)が「某、その方儀、〜せし段不届きにつき、切腹申付けるものなり。」と判決文を読み上げる。 |
切腹の時刻 |
夕方から夜間が通常 |
切腹の場所 |
原則 |
公儀預け人(大名・旗本など)屋敷及び寺院
罪人が大名・旗本の時は邸内、それ以外は庭が原則
身分が軽い場合、小伝馬町牢内で行われる場合もある。 |
邸内 |
毛氈、布団を敷き血止めをする。
切腹人の身分が高い場合は、特に白布で覆った畳二枚を敷く。
切腹の座は西又は北向きとし、検使の座が対面に設けられる。 |
庭 |
周囲に白い幔幕を張った竹矢来を作り、南北に出入門を作る。
真中に白縁の畳二枚でT字型の切腹の座を作る。
座の傍らには白木の燭台二本が置かれた。 |
介錯人 |
選任 |
預かり人が家中から介錯人3名を選任する。
家中に適任者がいない場合、家の恥じであるため密かに他家から借りることもあったという。 |
役割 |
当日は麻上下に大小刀を帯びて勤める。
役目は、切腹人の首をはねる者1名、介添役として切腹刀を切腹人の前に運ぶなど細かい作業をする者が一名、もう一名は、切腹後、首を検使の実検に供する役であった。 |
検使役 |
切腹人が大名、旗本の場合は、大目付が正使で目付を副使となる。
それ以下は正使が目付で徒目付が副使となる。
検使役は終始、帯刀のままである。 |
切腹人 |
切腹の申し渡しを受けた後、沐浴し、髪を茶筌に結う。
服は白無垢(無官は浅葱無垢)、上下は麻の無紋で水浅葱を着用。 |
切腹刀 |
九寸五分で柄をはずし、切っ先五寸程度を出して奉書紙で巻く、それを紙捻で結ぶ。 |
切腹の手順 |
先導者の案内で南門から入り、北面又は西面して切腹の座につく
↓
下役が白盃、塩を入れた土器を乗せた折敷を左手に、水入りの銚子を右手に持ってそれを切腹人の前に置く。切腹人は末期の盃を二口に飲む。
↓
介錯人の一人が切腹刀を三方に乗せ、切腹人の前に置く。
↓
介錯人は切腹人の背後に控え、切腹人に恐怖心の与えぬように鞘を払い、左斜め後に立ち、八双(あるいは中・下段)に構える。
↓
検使に目礼し、右肌、左肌の順で脱ぐ。
↓
腹を切る(詳細は次項)
↓
介錯人は一気に首を切る。
介錯人は蹲踞の姿勢を取り、懐紙で刀身の血のりを取り、鞘に収める。
↓
首は別の介錯人が右手で髻を掴み取り上げ、死体の右側を回り、検使の前で左膝をつき、首の右側を見せ、ついで左手に持ち替えて左側を見せる。 |
腹の切り方 |
切腹刀を左腹部に突き立て、右へ引き回し、一旦、刀を抜く。
次にみぞおちから心臓を貫き、仰向きの手を下に向け直し、下腹に向け押し下げる。
最後に刀を抜き、喉を突く。 |
首を切り落とす時期 |
時期が下ると、実際に腹十文字に切るということは無粋とされ、刀の代わりに扇子や木刀を使うことが多くなった。赤穂浪士の幾人かも扇子腹だったという。
これらのことから、切腹も斬首とあまり変わらなくなってくるのだが、首を切る時期は次の四段階であった。
@肌を脱ぎ終わった瞬間
A切腹刀(扇子等)を取るため三方を引き寄せ上体を折った瞬間
B切腹刀(扇子等)を取り上げた瞬間
C切っ先(扇子等)を腹に突き立てる瞬間 |