武士の時代バナー 武士の給料
 

1 種類
2 支給方法
3 現在価値に換算

種類

 武士の給料つまり俸禄の仕組みは少々難しい。
 幕臣の場合だけを例にとってもその種類はかなりあったようである。
 ここでは、「家禄」「職録」「扶持米」について説明する。
家禄
 先祖の功により、家に対してもらえた俸禄。いわば、基本給である。

職禄
 職務を果たす上で家禄の不足を補う俸禄、いわば、職務加算給。
はじめ、職毎の役高がそのまま支給されたが享保8年より、役高に家禄が達しない分だけ支給されることとなった。(足高)

扶持米
 分類としては、家禄に分類されるが職禄を持たない者にとって大きな収入であるから特にとりあげる。
 扶持米は主として下級武士に蔵米や現金の他に与えられた。禄高を表す時に「300俵5人扶持」という表現になる。
 一人扶持は、一日当たり男は5合、女は3合換算で毎月支給される。
 いわば家族手当といったところであるが、もちろん家来の人数も加算される。

支給方法

 支給方法は「知行取り」と「蔵米取り」と現金支給がある。

知行取り(単位は
 知行取りは主として旗本に対する支給方法である。
 旗本は200石以上御目見え以上の者をいう。
 旗本は知行地を治める能力ありとされて、そこから年貢を取ることを許されるのである。年貢の割合は、四公六民から五公五民が普通であったから、200石取りの旗本であれば四公六民として80石が取り分、120石が農民のものということになる。この80石のうち、実際に食べる分だけを現物納入させ、残りは現地で金に換させて金納させた。

蔵米取り(単位は
 蔵米取りは主として御家人に対する支給方法である。
 これは、玄米が直接支給されるということであるが、2月に1/4、5月に1/4、10月に2/4というように分けて支給された。(切米
 例えば、200俵取りの御家人であれば、石に換算すれば1石=2.5俵であるから80石となる。つまり、200石取りの旗本と200俵取りの御家人では計算上の手取り給与は同じとなる。

現金支給
 職禄のうち、年額何両という形で現金支給されるものもあった。
 幕末には職禄が現物(米)で支給されたり、現金で支給されたりと煩雑であるため老中以下全て現金で支給されることになった。(役金)
 これは、市場経済が発達し米の現物支給が実際には札差など商人を介して現金化されているのが実際であったから建前を取り払い、現実にあわせたということもできる。

現在価値に換算

 当時の俸禄を現在価値に換算したらどうなるか。
 換算すること自体にかなり無理があるのは承知の上で計算してみる。
 例えば、200石10人扶持(男5・女5)の旗本がいたとして換算するとどうなるか。

 家禄    200石の実収が4ツ物(四公六民)として80石
 扶持米  男扶持  一日5合×360日×5人=9000合=9石
       女扶持  一日3合×360日×5人=5400合=5.4石

 合計 94.4石=236俵=13216s

 現在の米10sを仮に4000円とすると・・・5,286,400円となる。
 これで、10人が生活するのである。役について職禄をもらえればまだ良いが、無役であれば内職でも何でもしなければ生きていけないのがよくわかる。